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「DeepBlack12 漆黒の虹」(サンプル)
2009-12-26 Sat 01:28





(……ロン、ファ………)
 涙が眦を伝う感触に、銀次がふ…と薄く瞳を開く。意識はまだ半分眠りの中だ。
 あまりにリアルな夢。ぼんやりとした頭では、どちらが現実で夢なのか。よくわからない。蛮の邪眼もこんな風なのだろうか。出逢った時には既に力は使えなくなっていたので、実際見てみたことはないけれど。
 考えているうちに、意識が浮上していく。ひんやりとした大気に、夜明けを肌で感じた。
(……そうか。もうすぐ夜が明ける。朝が来るんだ……)
 頭の片隅で思いながら、まだぼんやりとした琥珀をゆっくりと開く。
「…うわ…!」
 思わず叫びそうになるのを、慌てて自分の手で口を塞いで、かろうじて回避した。
(蛮ちゃん…! しかもこんなドアップで…!)
 鼻先掠めそうな程近くにある端正できれいな顔に、銀次の胸がどきりとなる。瞳のきつさのせいか、目を開いている時は、男っぽくて精悍という印象が強くなるけれど。眠って目を閉じている時の蛮は、「きれい」と表現してもちっともおかしくないくらい美形であるのだ。
 これで口が悪くなければ…と、銀次がくすりと胸で落とす。途端に、まるでそれが聞こえていたかのように、ぽす!と大きな掌が銀次の頭の上に落ちてきた。
「ひえっ」
 殴られるのかと思い、慌てて身構えるけれど、その手は銀次の金の髪をくしゃくしゃと掻き回しただけだった。
「あ、あの、蛮ちゃん」
「……まだ早え。もうちっと、寝てろ……」
「え、うん…」
「朝になりゃ、クソババアが来やがるからな」
「くそばばあ…?」
銀次がきょとんと復唱する。
「あぁ、根性ババァ色のクソ魔女のクソババァ……」
「へ?」
 そこまで言って、髪をかき混ぜていた手がくたりと銀次の顔に覆い被さる。寝息が聞こえた。
「あれ? 蛮ちゃん、寝ちゃった…?」
 というか、そもそも起きたわけではなかったのか。
(…なんだろ今の…。寝言?)
 くすっと笑みを浮かべて、また眠ってしまった蛮の腕を、起こさないように気遣いながらそっと下ろす。
 色濃く影を落とした長い睫。そんな素振りは少しも見せないけれど、怪我が回復するなり、動き回らせてしまったから。きっと疲労が蓄積されているのだろう。にも関わらず、自分のことは後回しで、銀次の心身ばかりを気遣ってくれる。
 そっと手を伸べて、布団の中で温められた掌で、冷えた蛮の頬を包み、ありがとう…とそっと口づけた。そんな銀次を無意識に抱き寄せようとする逞しい腕と胸に、銀次がわわっと声を上げそうになる。
(わっ、ていうか、もう、蛮ちゃん。相変わらず、パジャマ、下しか着ないんだから)
 裸の胸にどきりとしながら、風邪引いちゃうよ?と小さく呟いて、逞しい肩へと布団を引き上げる。反対に、銀次の方はきっちりパジャマを着込ませられていた。







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