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「猫の手」(蛮銀)
2010-02-14 Sun 19:08
ぱんださんに捧げる蛮銀vv
先日はほんっとうにお世話になりましたー!!
お礼といっては何ですが、よかったら貰ってねーv
つか、バレンタインでもなんでもないし、しかも蛮ちゃん黒猫でごめんなさい~!















ある朝。
目が覚めたら猫になっていた。


…まあ、往々にしてそういうこともある。
何せこちとら、テメエは呪われた子だの悪魔の子だのと、さんざん言われ続けてきた魔女の末裔。
呪術師の呪いを受けて、突然蛇や蛙になったりすることもまあ…無いこともねえだろう。
その程度には覚悟はあった。


だがまさか、猫とは。
いささか予想外ではあったが。


そして、更に予想外だった事は。
そんな己の変化を、あいつが不安がるんじゃねえかと、まず、そっちを気に掛けたことだった。
ずっと孤高を守ってきたこの俺が。
笑わせるだろう。
自分を気にかける奴がいるってだけでも、まったく以って、未だ信じられねえ話だってのに。







そして、しかもその相手が、ある朝突然猫になった相棒を膝の上に乗せ、脳天気にこんなことを聞くものだから。
ますます調子が狂ってしまう。
「ねえねえ蛮ちゃん」
「あー?」
「人間に戻ったらさ。まず何がしたい?」
猫の口に煙草を銜えさせながら、黒い背なを撫でつけ、にっこりと銀次が微笑む。
「何だっての、やぶからぼうに」
黒猫になっても、蛮の口の悪さに変化はない。むしろ人間の言葉を普通に話しているのが、どうにもコミカルに見える。
自覚しながら、煙をふかせ、黒猫になった蛮がちろりと相棒の顔を睨み上げた。
その顔は、無理に微笑んでいるような悲壮感は微塵も感じられず、至ってナチュラル。

もうちっと驚くとか慌てふためくとか泣くとか、そういうのはねえのかテメエは。
呆れたように、蛮がフンと鼻を鳴らした。
いや、慌ててはいたのだ。これでも。
猫になってしまった蛮を抱え、一目散にマリーアの店めざして物も言わずにダッシュしたぐらいだから。
スニーカーの左右を間違えて履いたまま。
だが、マリーアに事情を説明し、説明を受けるや、なぁんだとあっさり納得した。
なぁんだと言っていられる状況でもないのだが、蛮にとっては、拍子抜けもいいとこだった。

だが、そのおかげで、自身も何ら動じずにいられるのかもしれない。そう思う。
気がかりなのは、つまりその一点だけだったのだ。
相棒を不安がらせてしまうこと、ただそれだけ。

「だってさ、やっぱ猫でいるのって不自由なこともあるんじゃないかなって思って。だから元の姿に戻った時に、蛮ちゃんがしたいこととか食べたいもんとかあったらさ。俺で出来ることなら何かしてあげられたらいいなあって」
銀次の膝の上からその笑みを見上げ、蛮が髭を立て、片目を眇める。
まさしく脳天気だ。まったくこいつときたら。真性の大馬鹿。
人の心配してる場合か、テメエ。
かりかりと爪先で剥き出しの膝小僧を軽く引っ掻けば、くすぐったいよと琥珀が笑んで細められる。あまりの無邪気さに、つい蛮の悪戯心が舌を出した。
「やりてえ」
「んっ? 何?」
「だーから。やりてえ」
「え? ええっと、だから。やりたいって、何を?」
ストレートに告げた筈が、きょとんと聞き返されて蛮が憮然となる。
「アーホ。何カマトトぶってやがる」
「かまトトって?」
何それ食べられるのという顔の銀次に、蛮がやれやれと頭を垂れる。そして、接近したきた銀次の顔めがけて、やおら前足を出し、カリッと鼻頭を引っ掻いた。
「うわっ、何すんのっ! 痛いよ蛮ちゃん!」
「テメエが、しらばっくれやがるからだ」
「そんらぁ…!らって、わかんらいよ、はっきりいってくれなひゃ…」
鼻を押さえながら思わず涙目になる銀次に、呆れたように蛮が溜息をつく。
だが、まあそうか。
しらばっくれるなんて、そんな器用なことが出来る銀次じゃない。
考え直し、蛮が再び嘆息し、猫のくせに、やたらと男の色気を漂わせて銀次へとちろりと視線を流した。

「セックス」

「…は?」
これ以上、どうはっきり言えっての。
言いたげな口許は、どこか面白がっているようにも見えるが。
「セックスしてえ」
「へっ?」
「誰と?とか聞くんじゃねえぞ、このヤロウ」
凄みのある目で見上げられて、銀次がびくりとしつつも、うーんと考え、琥珀の瞳をまん丸にする。
「…えっと?」
そして、しばし固まった挙句、やっとどうにか意味を解したらしい銀次が、俄にかあああっと耳朶まで沸騰したように真っ赤になった。
「うわ!! ってそれ、つまりそういう…!?」
「だから、そう言ってるだろうが」
「な、な、何言って…! 何言ってんのっ、うわあっ、ばかばか!蛮ちゃんの馬鹿っ!!!!」
「テメエが聞くからじゃねえか」
「まっ、まさかそんなことだとは思わないもん!」
「アホ、ちったぁ思え!」
「思うわけないじゃんかっ、何それ!! もう、俺真剣に聞いてんのにっ!」
「だから真剣に応えてやったんじゃねえかよ! つうか、テメエだって溜まるだろうがっ!」
「溜まんない!! 溜まりません溜まりませんよっ! お金と一緒でこれっぽっちも!!」
「貧乏くせえこと言うな! つうか、一緒にすんじゃねえ、金とセッ…」
「うわああっ、言わなくていいから! もうっ蛮ちゃんのばかばか!! 俺知らない、もう寝るからっ!!」
さんざん両手をぶんぶん振り回して喚いた挙句、ばたん!とシートを倒して、後部座席から毛布を引き寄せ、頭まですっぽり被って銀次がぷいとそっぽを向く。
怒ったみたいに背を向ける銀次の上から、ひらりとドライバーシートに飛び移って、蛮がやれやれと片目を眇めた。
相変わらず、ウブなんだか天然なだけなのか。
とはいえ、真っ赤になっていた項をちらりと思い浮かべ、考える。

つまり、そりゃあ、テメエ。
まんざらでもねえってことか?

だが、悲しいかな。
この状態では、据え膳をどうすることも出来ないのが我ながら情けない。
いっそ魔獣になって…。
いやいや、それではサイズの問題が。
考えて、蛮が苦笑を漏らす。
仕方がねえ。髭の手入れでもするか。
どうやら本気で寝入ってしまったらしい銀次の背を見つめ、蛮が深々と溜息をつく。
それにしても、寝つきの良さは半端ない。それもこんな話の後で。
寝息を聞いて、蛮がまったく子供みてえな奴だと目を細める。
そして、見上げた肩先で、ふいにずり落ちた毛布に気付いた。自然と手を伸ばそうとして苦笑する。
そう、猫の姿で不便を感じるのは、こんな時だ。

抱き寄せるのも、髪を撫でるのも、この有り様じゃ叶わない。
ずり落ちた毛布を直して、その肩に掛けてやることさえ。

(――歯痒いんだっての)



人の姿の戻って、一番最初にやりたいことなど聞かれるまでもない。
答えはいたってシンプル。単純明解。
金の髪に指を差し入れ、掻き回して、乱れた前髪の先に唇を落として、肩を強く抱き寄せたい。
いつものように。

(深いスキンシップなんざ、その後でいい)



意識の力でコントロールする。己の中の魔性の血を、凶暴な力を。
暴発したらどうなるか?
知るか、俺が。
だが。ああ、たやすいことだ。
こいつを抱き寄せられねえ歯痒さに比べたら。


たとえ、それが数分でも、数秒でも。
叶えばいい。
それで。





伸ばされた手がゆっくりと人の手指を形取る。
暫定的なものではあるが、問題はない。今だけでいい。
毛布を引き上げ、肩に掛けてやり、背中からぎゅっと銀次の身体を腕の中に抱き寄せる。
『悪魔の腕』(デモンズアーム)と名高い忌まわしい力を持つ右腕も、そういう点に置いては猫の手よりはましかもしれない。
蛮が唇の端を持ち上げ、ほくそ笑む。
そして、まだ赤いままの項に、誘うように唇を落とし、そこに約束の印を刻んだ。





あと一日、待てや。
なぁ? 
タヌキ銀次。








急いでアップしたのでちゃんと読み返せてないの;;
また後で手直しします~;;
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