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「DeepBlack番外編 サイハテ」(サンプル)
2010-09-15 Wed 18:35
お知らせが遅くなってごめんなさい…!

「サイハテ」の通販受付を始めましたv
(通販お申し込み期間:9月15日~9月25日まで)
お申し込みの数を確認後にコピーと製本にかかりますので、発送は10月に入ってからになると思います。
すみませんが、予めご了承くださいませ。
お申し込みはコチラからお願いしますvv






DeepBlack番外編。バビロンシティでのお話です。




 朝の光の中、やや逆光になりながら、キッチンから母と姉が驚いたように振り返った。
「あら、びっくり。今日はやけに早いわね、銀次」
「本当。いつも遅刻寸前まで寝てるお寝坊さんがどういう風の吹きまわし?」
「やあだ、有鈴。今日は雨が降るわよ」
「えぇー、せっかくいいお天気なのにねえ」
「ねえ、お洗濯日和なのにー」
 言い合い、母と姉が銀次を横目に、くすくすと笑いを漏らす。その様子に銀次がむくれたように頬を膨らませた。
「って、ひどいなあ。そういう姉さんたちだって、朝から二人揃ってキッチンに立ってるなんて珍しいくせに」

 科学者の母と、医師を目指す姉。進む道は違えてしまったが、とはいえ、二人はいつまでも姉妹のように仲が良い。
 知的で聡明な母と姉は、銀次の自慢の家族だ。
――そう、自慢の家族。母と姉との、何不自由のない三人暮らし。
 日々の暮らしは、平穏で安定している。二人が多忙すぎるのが気になるが、それも充実している証拠なのだ。問題はない。
「こら、つまみ食いは行儀が悪いわよ」
「うわ、痛いよ姉さん」
 皿の上のプチトマトに手を伸ばせば、ぴしゃりと姉に手の甲をはたかれた。
「もう、まったく銀次ったら、相変わらず食いしん坊なんだから!」
「だって、美味しそうだったんだもんっ」
「さあ、先に顔を洗ってらっしゃい。ちょっと早いけど、食事にするわ。今日は早めの出勤だから」
「うん」
 母の言葉に肯き、キッチンを出て、サニタリールームに向かう。光の差し込む白い部屋は、清潔感を強調していた。その白さと光の強さに、また微かな目眩を覚える。が、振り切るように水を出し、冷たい水で顔を洗った。脇に掛けられた白いタオルで濡れた顔を拭い、鏡の中の自分を見つめる。瞳が合って、はっとなった。
 癖のある黒髪。紫の瞳。
 瞳の色が珍しいせいで、よく友人たちにカラーコンタクトかと問われるが、どうしてこんな色になったのかは、当の銀次でもよくわからない。
 昔は、母や姉と同じ黒い瞳だった。幼い頃のスナップ写真を見ても、それは明らかである。だのに、いつからだろう? きっと少しずつ色素が抜け、ゆるやかに今の色になったのだろうと想像するけれど、変化の過程ではまったく気づかなかった。特に目が悪くなったとも感じなかったし、実際視力にも変化はない。
 不都合がない上、何より、この紫の瞳を銀次自身はとても気にいっているのだ。だから、何も問題はない。
 顔を寄せて鏡の中の自分を見つめれば、今にも、その瞳に吸い込まれていきそうな錯覚に陥る。
 鏡の向こうから、自分ではない誰かが、自分を見つめているような。




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