スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告 |
DeepBlack3
2007-02-06 Tue 15:53
忙しくて、インフォメがちっともさわれない状況なので(涙)
ひとまずこっちで「DeepBlack3」のサンプルを上げてみますです。

表紙+プロローグ部分↓

deepblack3-s.jpg








お前を失ってから、はじめての夏が近づいた頃。
俺は、一人で再び『奪還屋』の看板を掲げた。

それが、お前に繋がる、
最後に残された、唯一の手掛かりだと。
そう信じて。




引き受けた仕事は、
内容の割にやたらとギャラが良くて。
俺は、それを持て余した。


一人で旨いモンを食ったところで、
腹も気持ちも満たされず。
それどころか、その頃にはもう、
食うことさえ億劫になっていた。


酒を飲んだところで、泥水のようで。
煙草やコーヒーさえ、もはや何の味も感じなくなった。


生きるためのすべてが面倒で。
だが、皮肉なことに金は溜まる一方で。
それももう、どうでもよく。


根こそぎギャンブルに注ぎ込めば。
なんと、信じられねぇほどのボロ儲け。
それを、今度はパチンコに注ぎ込めば、
この台イカれてんじゃねえの、というほど当たりが来る。








テメエなあ。



もしかして。
マジで、テメエが貧乏神だったんじゃねえの?





胸の中で呟けば、
『そ、そんなことないよっ! 俺のせいじゃないもんっ!』
などと。
ムキになって言い返してくる、
必死の顔が目に浮かんで。


常時痛んだままの心臓の辺りが、
殊更きりきりと強く痛んだ。







山のように出た玉の箱を幾つも積み上げ、
金に代えるでもなく。
景品交換のネェちゃんが唖然とするほどの
大量のチョコに代えてスバルに戻る。


そこで待っている筈のお前に。
チョコで一杯のでかい袋を手渡し。
はしゃいで喜ぶお前の顔に、笑みを返す。


一度に食うなよ。
腹、壊すぞ。
だから、がっつくなって。
あぁ、口の回り、チョコだらけじゃねえか。
髭オヤジみてえだぞ。


そんな俺の声に、
お前が声をたてて楽しげに笑う。







だが。
その声も。
今は、闇に溶けて。






気付けば。
真っ黒に沈むサイドシートに、お前の姿はなく。
からっぽで。


探しても、どこを探しても。
お前の姿はどこにもなく。


俺は、大量のチョコの甘い匂いに胸やけしながら、
煙草を咥え、雲にけぶる月を見上げた。



胸の中は、ただ、からっぽで。
吹きさらしの胸の空洞を、
突き抜けるように風が逝く。





銀次…。














なあ、銀次…。

今、お前は何処にいる…?







帰って来い。
俺は、此処だ。
此処に居る。
隣を空けて、ずっと待ってる。



銀次。
声を聞かせろ。
もう一度。
俺を呼べよ。





それが無理なら、せめて。
お前が横たわる深淵の底に、俺を導け。






そして。
せめて、その傍らに、
俺の屍を埋めて眠れ――。









プロローグは暗いけど、中身は大丈夫ですのでっ! むしろらぶらぶ。
スポンサーサイト
別窓 | 蛮銀SS | コメント:0 |
<<お知らせ | ヒトリゴト | ふたたび原稿中>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

| ヒトリゴト |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。