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ハッピーレイン(おばあちゃん編)
2007-03-30 Fri 02:00
雨が降ってきたと、耳の悪い老婆が気付いたのは、つい今しがた。
幼くして亡くなった息子の形見の古い絵本を胸に抱いて、ひとしきり思い出に耽っていたから。
尚更、強い雨音にさえ気付かなかったのかもしれない。



奪還屋さんという、あの子たち。
多分、傘を持っていなかったはず。
どうしただろう。
車は、こんな細い道は入ってこれないから、ずっと先に停めたと言っていたけれど。


濡れてるんじゃないかしら。



考えて、ゆっくりと腰を上げる。
こんな足取りじゃ、若い人には到底追いつけないけれど。



ちょっと見に行ってみようかしら。


行ってしまっていたのなら。
それはそれで構わないし。
もう一度、顔が見られるんなら。
それはそれで嬉しいし。



男物の傘を2本持ち、外に出ようとしたところで、孫の嫁とばったり会った。
傘をね、持って行ってあげたいの。
そういうと、おっとりやさしい性格の嫁はにっこりとして、じゃあ私もいっしょに行きますよと、大きなじゃのめを開いてくれた。



強い雨の中。
嫁と言葉をかわしながら、ゆっくりゆっくりぬかるんだ道を歩く。




あのこね。
なんていったかしら。
金色の頭の。
お日さまみたいに笑う男の子。
やさしい、とってもいい子だったのよ。
目がよく見えないのと言ったら、息子の絵本読んできかせてくれてね。
それが、詰まり詰まり、あんまりたどたどしく読むものだから。
一緒にいた、ちょっとぶっきらぼうな子がね。
ほら、サングラスかけた。
ちょっと怖そうな。
あのこが、あぁ、そこはこうだ、とか。
その字はこう読むんだ、とか。
いろいろ教えてあげていてね。

あの子も、やさしいいい子ねぇ。


ふたり、とっても仲が良くてね。
何か、ほっこりしたわ。



息子に読んでもらってるみたいで。
胸がね。じーんとしたの。




話しながら、曲がりくねった田舎道を、のんびりのんびり歩いていたら。
ふいに嫁が、あらあらと呆れたように言ったので。
いったいどうしたのかしらと、顔を上げたら。




さっきのふたりが。
どろんこになって、笑ってた。



雨の中。
ばしゃばしゃと、水たまりを蹴り合って。
子供のどろんこ遊びみたいに、泥だらけになって。
大笑いして、はしゃいで。



あらあら、まあ。



楽しそうですねぇ、と嫁が声をたてて笑ったので。
一緒になって、くすくすと笑った。

まぁ、声をたてて笑うなんて、とってもひさしぶり。



それにしても。
これは、傘よりも。
家に戻って、お風呂の用意をした方がいいかもしれない。




考えて、ふふふと笑みをこぼしたら。
それに気付いた金色の子が。
こちらを見て、どろんこの手を上げて、おひさまみたいに笑ってくれた。



「おばあちゃーん! 雨ってホント、気持ちいいねっ!」







おわり。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
拍手のハッピーレインのおばあちゃん編?(笑)
メッセージで、『その「おばあちゃん」が見かけてもう一度お邪魔したら~』といただいたので、あ、それもいいなあ!と思ったら、あっさりとこんなお話が出てきました。
確かにそんなどろんこになったら、てんとう虫くんの中までどろんこになってしまいますよねえ(笑)
ばあちゃんちで、ゆっくりお泊りでもさせてもらうのかなあvなんて。


わーい、感想ありがとうございましたv
楽しんでいただいてるようでしあわせですーv
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