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お誕生日SSが間に合わないので。
2007-04-19 Thu 23:53
DeepBlack4の抜粋でも(汗)↓











「ねえねぇ、あれカラーコンタクトかなぁ!?」

ふと、近くでバイトの女のコたちが、何やらきゃあきゃあと騒いでいる声が耳に入る。
もしかしたら、しばらく前からそんな風に賑々しかったのかもしれないけれど、銀次自身も頭の中がかなり一人で騒々しかったため、まったく気がつかなかった。
「おいっ、お前ら。うるせーよ、仕事中だぞ」
声を潜め、長身の腰に手を当てて、さっきの大学生が入ったばかりのバイトの女の子たちを注意する。
「だって、エジマさーん!」
それでもちっとも懲りていない彼女たちは、さっき一人で入ってきた男性客が超素敵なので、誰がメニューを持って行くか相談して(競って)いたのだと言う。
彼のなかなかに男前の顔が、とんでもなく苦渋くなった。
「へー、そう」
「だって、ねぇ」
またきゃあきゃあ言い始める彼女たちに、一瞥をくれ、彼がはあと溜息をつく。
「あっそ。はい、天野。これ持ってって」
ぼけっとその様子を見ていた銀次が、いきなりメニューと水の入ったグラスをトレイごと押しつけられ、ぎょっとなる。
「え、あの」
「8番だってさ。持ってって」
「で、でも」
「ほら、早く」
ポンと背中を押され、女の子たちの抗議のような悲鳴を背に、銀次が指示されたテーブルに向かう。

やれやれ。エジマさんってば。意地悪しちゃって、もう。
ていうか、こういう場合。
後で恨まれるの、やっぱり俺だと思うんだけど。

あーぁと極小の息を落としつつ、一番奥の窓際の席へと向かう。
まあでも、仕事だしね。お客さんがカッコいいとかそんなことで、いちいち騒いでられちゃたまらないかも。
考えながら、にっこりと営業スマイルを浮かべて、テーブルの横に立つ。
――とはいえ。ちょっと気になる。

さて、どんなカッコイイ人なんだか。
って言っても、俺。
カッコいいって、蛮ちゃんしか顔思い浮かばないケドね。
いや、惚気じゃなくて、本当にね。

「いらっしゃいませ」
言って、丁寧にグラスをテーブルに置くなり、目前で苦笑が漏らされた。
何かしくじったかとぎょっとしていると、今度は半笑いの声が言う。

「何だよ、テメエ。まるで、七五三みてぇだな」
「へ?」

聞き覚えの有り過ぎな声に、まさかついに幻聴が聞こえるようになったのか?といぶかしみつつ、ゆっくりと視線を上げる。
「よう」
途端に、頬杖をついて自分を見上げる、やさしげな瞳と目線が合った。
「…えっ」
「それでもよく見りゃ、そこそこサマにはなってるか」
言われように、銀次の両の頬が一気にかぁあっ!と真っ赤に染まる。
「え、え、? う、嘘…っ」
「嘘たぁ何だ。せっかくヒトがサマになってるって、お世辞言ってやってんのによ」
返ってきた毒づきに、銀次が驚きを通り越して半ばパニックに陥りつつ、わたわたと言う。
「えっ! い、いや! そういう意味の嘘っ、じゃなくてですね! ていうか! な、何がっていうか、何でここにっていうか! え、え、え?? 俺、もしかして白昼夢見てるっ!?」
「何、一人でテンパってんだよ、バーカ」
「ば、ば、馬鹿って! ほ、本物っ!? 本物の蛮ちゃん!?」
「当たり前だろうが」
「ほ、ホントにホントに、蛮ちゃんっ!?」
「おうよ」
"しつけえ"と笑いながら言われて、じんわりと銀次の眦に涙が滲む。
赤くなってくるのが自分でもわかって、慌てて制服の袖でごしごしと拭った。
それを見上げる独特の色彩を持つ瞳が(それで、カラーコンタクト?と騒がれていたらしい)、やさしく細められる。
「アホ。泣いてんじゃねえよ、大袈裟な」
「な、泣いてないよっ」
「嘘つけ」
「嘘じゃないもん。もーお、蛮ちゃんっ」
「何だよ」
「今日来るなら来るって、ちゃんと電話くれたら、俺…」
「あぁ、泣くなっての。だーから、予定より一日早く仕事のケリがついたんだよ。で、金の受け取りの約束も、依頼主の事情で今日の夕方だったのが急遽今朝になったからよ。受け取ったその足で、新宿出てきた」
「…そう、なんだ」
「俺も、早く顔見たかったからよ」
「蛮ちゃん…」
銀次が、蛮の言葉に涙ぐみながら頬を染める。
その頬に軽く手を差し伸べ、青灰の瞳を細めて、包みこむように蛮が笑んだ。
「で。何時までだ、バイト」
「あぁ、えーと。今日は、8時か9時くらいまでかな? 風邪でバイトの子が二人も休んでてね、夜から応援の子が来てくれたら8時で上がれると思うんだけど」
「そっか。なら、そんぐれぇに迎えに来る」
「えぇ、本当っ!?」
「んな派手に驚くことかよ。あぁ。晩メシ、一緒に食うか」
「うん! 何か買ってって、蛮ちゃんのおうちで食べたいな。俺、部屋、まだ入ったことないし」
「勝手に入っていいっつったろうが。鍵渡してあるんだしよ」
「だって、蛮ちゃんいないのに。一人でいたって、余計に淋しいだけだもん」
「そりゃあ、ま。そうかもしれねぇが」
それにこくんと肯き、微笑を返して、銀次がふと小脇に抱えたままのメニューに気付く。そして、"そうそう、オーダーまだ聞いてなかった"とテーブルの上にメニューを開いた。
「お昼まだ? 何か食べる? 俺、奢っちゃうよー」
「へーえ。そいつはありがてぇな。なら、思いきり豪勢に食ってやっか!」
からかうように言われ、調子にのって、思わず答える声のトーンが跳ね上がる。
「ちょっ! あんま高いのとかダメだからねっ!!」
叫んでしまってから、はっと気付いて、銀次が慌てて両の手で自分の口をばっ!と押さえた。
制服姿のため、殊更注目を浴びたことに気付いて、銀次がやばい…と小さく叫んで肩も縮める。

女の子たちのこと、これじゃあ全然言えないよ。
あ。っていうか。
じゃあ、カッコいいって、蛮ちゃんのことだったんだ。

思い、何やらほくほくと嬉しい気がしてきて、ほくそ笑みつつ、再び背筋を真直ぐにする。
「さて。何にすっかな」
「あぁ、ええっと。ただいま、ドイツ料理フェアも行っております。こちらが、そのメニューでございます」
「ほーお」
「当店のジャーマンオムレツはオススメですよ」
「なら、それを貰うか。あと、塩付け豚バラ肉のローストと、ビールな」
「そ、そんなに食べんの?」
「ここ三日ほど、ろくに食ってねえからよ。たんまり食って、精力つけねぇとな」
「せ、精力…って」
思わず声を潜める銀次の手首をテーブルの影でぎゅっと握り、蛮が下から舐めるように銀次を見上げ、にやりとする。
「テメエと、色々愉しむために」
「――でっ! では、ジャーマンオムレツと、塩付け豚バラ肉のローストと、ビールで、ごごございますね! かしこまりました! 少々お待ちくださいませ」

蛮のからかいから逃げるように早口にオーダーを確認して、そそくさと足早に、銀次が蛮のテーブルを離れる。
その項が、見事なほどきれいに真っ赤に染まっているのを目線で追いかけ、蛮は心から愉しげな笑みを浮かべた。



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