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「まだ夢の中」
2007-06-14 Thu 17:35


真夜中。
なんだか寝苦しくて目がさめた。

雨音のせいかな…?


ニュースで梅雨入り宣言を聞いた途端。
何もそんな律儀に降り出さなくてもいいものを。


フロントガラスを叩く雨を見ながら、倒したシートの上に横たわったまま、ふうと小さく溜息。
こりゃあ、今日は一日雨降りかなあ。
蛮ちゃん、ビラ撒きするって言ってたけど、どうすんだろ。
雨の日はさ、普段もあんまし受けとってもらえないけど、殊更"ビラなんてお断り!"率上がっちゃてね。
ムナシくなっちゃうんだよねぇ。


思いながら、ふと、運転席に視線を移す。
蛮ちゃんの寝顔。
きつい雨音にもめげず、よく寝入っている。

規則正しい寝息。
静かな夜にこうしてすぐ傍にいると、心音まで聞こえてきそう。

雨の音に、昔は二人してよく目を覚ましたけど。
今は、そんなこともなくなった。
今夜俺が目がさめたのも、たまたまだし。


そういえば。
悪夢を見て魘されることもなくなったよね、お互いに。
ごくたまに、ハッと目が覚めることは今でもあるけれど。
そんな時はこんな風に、静かに相手の気配に浸って、呼吸や脈を寄り添わせるようにすれば。
心はすぐに満たされて、瞬く間に、またおだやかな眠りに落ちていける。



さてと。
俺も、寝ようっと。


蛮ちゃんの方に、シートの上で少しだけ頭を傾けて、目を閉じる。
…と。
ふいに。
俺の頭の上あたりで、低い蛮ちゃんの呟きが聞こえた。


「……銀次」


「ん? 何、蛮ちゃん。起こしちゃった?」
答えて、頭をのそりと持ち上げる。
けれど、蛮ちゃんはどう見ても眠ったまま。
んん?

ってことは。
あれ?
めずらしい。
寝言…かな?

蛮ちゃん、あんまないんだけどなー。
俺は時々言ってるらしいけどね。
寝言。

"………うに。とろ、いくら………ハンバーグ……エビフライ……スパゲッティは……ナポリタン……"
とか。

うわわ、食べ物ばっかじゃんかー! 
しかも、いかにもひもじそう…。

いや、それはさておき。



「ん……ぎん、じ……」



「…v」
でも。
寝言で、名前呼んでもらえるなんて。
…なんか、嬉しい。
でへへvv
照れちゃうなー。


思ったら、なんだか余計に目が冴えちゃって、シートの上で上体を起こして、蛮ちゃんの顔をうきうきと覗き込む。


俺の夢見てんのかな。
どんな夢見てくれてんのかな。
蛮ちゃんの夢の中の俺は、どんな?
カッコいい?

ねえ、蛮ちゃん?


と、心で訊ねたとほぼ同時に。
蛮ちゃんの眉間が、次第にぐぐぐっと寄せられていき。
突如、ぐいっ!といきなり腕を強く引かれた。



「銀次……ぎ…んじ……!」



「ぇ、あの…!」
「銀次、待て…。銀次……っ!」
「ええっと…?」
「バカ、やめろ、行くんじゃねえ! そっちは……」
「はい…?」
「……沼だ」
「え?」




「ゴラァァアアア――――!!! 銀次ィィイイイ――――!!!」




びくっ!

ひえええええっ!?
ななななにごとっ!?



「アホか、テメエはっ! だーかーら、ぼけっとしてんじゃねぇって言っただろうが!!!」
「は、はいっ!?」
「どこ見てやがんだ、気ぃつけろ! あぁぁあもう、泥だらけじゃねえか!」
「え、え?」
「だから言っただろうがっ! あぁあ、もう、何やってんだかよ! こんなだから、テメエ一人じゃ危なっかしいってんだよ! このボケ、カス、とんま!どアホゥが!!!」
「え、えと…」

何やら一人でまくしたて始めた蛮ちゃんに、俺は頭の上に???マークをいっぱい出して、さてどうしようかと考える。
あ、でも。
あんま、寝言に返事しちゃいけないって。
前に何かで聞いたことがあったような。



――というか、俺。

もしかして。
沼に落っこちたんでしょうか…?(涙)



「おら、こっち来い! 手ぇ貸せ! 何だってテメエはそうも警戒心ってモンがねぇんだ! ったく、おめでてぇな!」 

うわん。ひどいっ。

「あぁ、ったく! おら、掴まれって! 俺が汚れるのなんぞ、気にしねぇでいい! ばーか、俺様をテメエみてえな間抜けヤロウと一緒にすんな!」

え、あの。

「まったく! これだからテメエは、目が離せねぇってんだよ!」


え。蛮ちゃん…?




なんだか、一方的に怒られて。
なんだか、よくはわからないけれど。
さんざん、そんな風に俺を怒鳴りつけておきながら。


突然。
ぎゅ…!と、蛮ちゃんは俺を腕の中に抱きしめた。




……え、えと。
蛮、ちゃん?




「テメエはな、俺のそばにいりゃ、いーんだよ!!!」




「どこにも行きやがんじゃねえ!!」




わかったか!と念を押され。
蛮ちゃんの胸の上で、思わず、こくこくと何度も強く頷く。
それを感じたのか、蛮ちゃんはやや口元を綻ばすと、フ…と笑んで。


「危ねえからよ」


最後に付け足しみたいにそう言うと。
蛮ちゃんは、俺を胸の上にぎゅっと抱きしめたまま。
まるで、安心したみたいに。
すーすーと、また寝息をたて始めた。




――あ、あの。

取り残されて、ぼーぜんとしたまま。

ところで。
俺はどうしたらいいんでしょうか…?



っていうか。
今の、あれ。

まるで、愛のコクハクっぽかったんですが…。
き、気のせい、かな…?


気持ちよさそうに眠る蛮ちゃんとは、裏腹に。
俺、どきどきして、とても眠れそうにないんですがっ!
どうしてくれんのっ…?






でも。
まーいいかな。
こういう風に眠れないんだったら。
しあわせだし、いいかな。


なーんて思う俺の耳には。
もう雨の音なんか、まったく聞こえてはこなかった。






代わりに届くのは。
耳のそばで聞こえる、ひどくあたたかな心音だけ。







今日がもし一日雨なら。
それを理由に、ずっとこうして一日中。
蛮ちゃんにくっついてるのもいいなー。


けど。
目が覚めたらきっと。
照れ屋の蛮ちゃんのことだから。
「こら、何ひっついてやがんだ、テメエ!!」とか言って。
また怒り出すんだろうケド(笑)。




END…



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別窓 | 蛮銀SS | コメント:2 |
<<相談料支払いの件 | ヒトリゴト | 早い(笑)>>
この記事のコメント
[No title]
お安くって、どのくらい……e-263
2007-06-15 Fri 00:13 | URL | 風太郎 #-[内容変更]
[確かに]
相談料いただきましたhttp://blog6.fc2.com/image/icon/e/446.gif" alt="" width="14" height="15" class="emoji">またの相談お待ちしております。お安くしときますよhttp://blog6.fc2.com/image/icon/e/814.gif" alt="" width="14" height="15" class="emoji">
2007-06-14 Thu 18:19 | URL | さゆき #-[内容変更]
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| ヒトリゴト |
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